熊本地震で罹災された方へ税務面からアドバイス、いち税理士より
2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震により、被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
生活の再建で頭がいっぱいの時期かと思いますが、税金には「災害にあった人のための救済制度」がいくつも用意されています。長年、国税の現場で調査・相談業務に携わってきた経験から、今知っておいていただきたい制度をわかりやすくまとめました。
1. まずは「罹災証明書」を取得しましょう
これから紹介するほとんどの制度は、市区町村が発行する罹災証明書(住宅などの被害の程度を公的に証明する書類)が手続きの起点になります。まだ取得していない方は、お住まいの市区町村の窓口へ申請を急ぎましょう。
2. 所得税:「雑損控除」と「災害減免法」、どちらが得?
災害で住宅や家財に損害を受けた場合、所得税には2つの救済ルートがあり、有利な方を選ぶことができます。
- 雑損控除:損失額のうち一定額を所得から差し引く制度。損失が大きいほど有利になりやすく、控除しきれなかった分は翌年以降に繰り越せます。
- 災害減免法による軽減免除:その年の所得金額に応じて、所得税額そのものを軽減・免除する制度。手続きがシンプルなのが特徴です。
どちらが得かは所得水準や被害額によって変わるため、確定申告の際に両方を試算して選ぶのがポイントです。
3. 国税の申告・納付期限の延長
大規模災害が起きると、国税庁が対象地域を指定して、確定申告や納税の期限をまとめて延長する措置を取るのが通例です(2016年の熊本地震でも実施されました)。今回も熊本国税局・国税庁のホームページで対象地域や延長後の期日が順次告示される見込みですので、最新情報を必ず確認してください。
4. 一括納付が難しいときの「納税の猶予」
災害によって財産に大きな損害を受けた場合、税務署に申請することで、原則1年以内、状況によりさらに1年、納税を猶予してもらえる制度があります。猶予期間中は延滞税の全部または一部が免除されるケースもあります。
5. 県税・市税の減免
国税だけでなく、熊本県や各市町村でも、固定資産税・自動車税・住民税などについて減免や納付期限の延長を行っています。県税は熊本県税務課、市町村税は各市区町村の税務担当窓口が相談先です。
6. 住宅を再建する方への税制優遇
過去の災害(熊本地震・能登半島地震など)では、住宅ローン控除の適用期間の特例や、住宅取得等資金の贈与税の非課税枠拡大といった措置が税制改正で講じられてきました。今回の地震についても同様の措置が検討される可能性があるため、住宅再建を予定している方は今後の税制改正情報にも注目してください。
まとめ
制度が多く複雑に感じるかもしれませんが、基本の流れは「①罹災証明書を取る→②税務署や役所に相談する→③使える制度を漏れなく使う」です。一人で抱え込まず、最寄りの税務署や税理士会の無料相談を積極的に活用してください。
※本記事は一般的な制度の解説です。適用可否や金額は個々の被害状況により異なりますので、必ず最寄りの税務署・市区町村窓口にご確認ください。掲載内容は執筆時点の情報に基づいています。


